近所の病院から帰宅した。
デパスとメイラックス、そして初めてのパキシルを鞄に入れて。

妻は午後から仕事に出かけた。
私は一人、薬袋を取り出した。

パキシルの錠剤を目の前にして鼓動が早くなったのを憶えている。

どうしよう。
パキシルは効いてくれるのか。
副作用はつらいのか。
効いたとしてもやめられなくなるのでは。
この薬も離脱症状があるんだよな。
でも今はそんなこと言ってられない。
妻も実家の母も苦渋の決断で抗うつ薬の服用に同意してくれたんだから。
でも怖い。

そんな状態で2時間ほどパキシルを眺めていた。

携帯が鳴る。
母からだ。

母:「もう飲んだの?大丈夫?」
私:「どうしよう。まだ飲んでない。怖いわやっぱり。」
母:「じっくり考えてね。私はあなたの決断を指示するから。頑張りや。」涙声
私:「ありがとう。ごめんね。じっくり考えるわ。」

電話を終えて考える。
気付いたらもう妻が帰宅する時間だった。

飲むべきか飲まざるべきか。
本当に迷った。

妻が帰宅した。
「もうパキシル飲んだ?」
心配そうにそしてできる限りの笑顔で私に尋ねる妻。

妻に伝えた。

「やっぱりパキシル飲まないよ。何か飲まない方が良い気がする。」

妻は精一杯の笑顔で答えてくれた。

「それで良いよ。私も迷っていたから。」

今思えば、このときの判断が大きかった。
少なくとも私の事例ではパキシルを服用しなくて正解だった。
だって今、こんなに回復しているのだから。

2013年1月、今から1年半前の出来事。